「修正申告と更正の請求」「更正と決定」、手続きの違い

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2023.10.30

決算

「修正申告と更正の請求」「更正と決定」、手続きの違い

日本の税金は、申告納税制度が取られています。これは納税者自らが税務署へ申告を行うことで税額を確定させるシステムです。ただし、この納税申告で税額を間違えてしまった場合、その誤りを修正しなければなりません。それに関わる納税者の手続きが「修正申告」と「更正の請求」、税務署の手続きが「更正」と「決定」です。この少々複雑な手続きを、事例をあげてご説明します。

時期で異なる「修正申告」と「更正の請求」の手続き

納税申告の内容を間違えていた場合、その税額を訂正しなければなりません。
次に挙げるものは、納税者自らが行う是正手続きです。

  • 申告期限内に訂正する場合は「訂正申告」
  • 申告期限後に訂正する場合は「修正申告」と「更正の請求」

納税者が本来払うべき税額より少なく納税した場合には「修正申告」を、多く払い過ぎた場合には「更正の請求」を行います。納税者が損をしているときは「更正の請求」を行う、と覚えるとよいでしょう。
なお、これらは納税者が自主的に行うものなので、修正後の異議申し立てなどはできません。

修正申告とは

修正申告とは、納税者が税額を実際よりも少なく申告していた場合、あるいは還付される税金が多かった場合に行う手続きです。意図的ではないミスだとしても、支払った税金に不足があったということなので、税務署からするとあまり印象は良くありません。間違いに気づいたら、早めに修正申告を行いましょう。

修正申告の場合は、追加で納める税金に関して延滞税が発生します。延滞税の税率は年7.3%ですが、納付期限の翌日から2カ月を過ぎると14.3%まで上がるので注意しましょう。
また、税務署からの指摘(増額更正といいます)後に修正申告を行った場合は「過少申告加算税」も課されます。これは追加で納める税金の10%~15%に当たる額となります。

修正の申告に該当するのは、たとえば以下のようなケースです。

  • 企業Aは申告期限までに納税申告を行いましたが、税金の計算を間違えており、本来納めるべき額より100万円少なく納税していたことがわかりました。このままでは納めた税額に不足があることになります。
  • Bさんは自営業をしていて、申告期限までに納税申告を行いました。しかし申告期限を過ぎたあとに、申告していない売上が見つかりました。このままでは実際の売上よりも少なく申告し、税金を納めたことになります。

修正申告の方法

修正申告では税務署に「修正申告書」と、必要な場合は追加書類を提出します。「修正申告書」は、税務署に取りに行くか、国税庁のホームページからダウンロードをすることで手に入ります。訂正前の金額と訂正後の金額を記入し、税務署に提出しましょう。
申告した内容により追加書類なども変わってきますので、税務署に直接確認に行くことをお薦めします。

なお、修正申告書に期限はなく、税務署からの指摘を受けるまではいつでも、何回でも修正が可能です。ただし、指摘されてからの申告になると過少申告加算税が課されます。また、税務署からの通知が届く前に自主的に申告内容を修正したほうが、税金の負担は軽減されます。

更正の請求とは

更正の請求は納税者が税額を実際よりも多く申告していた場合、あるいは還付される税金が少なかった場合に行う手続きです。

更正の請求に該当するのは、たとえば以下のようなケースです。

  • Cさんは個人で事業を行っていて所得税の申告を済ませました。しかし新たに経費の領収書などが見つかり、申告した税額よりも所得が少ないということが判明しました。更正の請求を行えば、納税額は減らせることがあります。
  • Dさんはサラリーマンで、医療費控除の申告をしました。ところがあとから家族の分の医療費を出し忘れていたことに気づきました。この医療費を加えて申告すれば、還付金が多く受け取れることがあります。

更正の請求の方法

更正の請求をする際には「更正の請求書」や、その更正の請求の理由となる「事実を証明する書類」が必要です。「事実を証明する書類」とは、たとえば経費の計上漏れであった場合には、その領収書などがそれに当たります。
「更正の請求書」は、税務署に取りに行くか、国税庁のホームページからダウンロードをすることで手に入ります。
更正の請求書を記入し必要書類を添付したうえで税務署に提出します。払い過ぎた税金は、請求書を提出後、指定した口座に返金されます。(振込には3カ月程度かかります。)

なお、更新の請求は法定申告期限から5年以内に行う必要があり、原則としてそれを過ぎると請求できなくなります。

「更正」と「決定」の違いは申告のタイミング

更正と決定は、税務署が納税申告について行う処分です。処分内容に不服がある場合、納税者は異議申し立てができます。

期限内の申告なら「更正」

期限内申告で税額を修正する場合の手続きが「更正」です。税務署が申告書を確認したうえで、徴収した税金が過大であったり過小であったりした場合に、本来の適正な額に直す手続きです。増額更正と減額更正の2つがあります。

期限後の申告なら「決定」

期限後申告で税額を修正する場合の手続きが「決定」です。つまり、申告書を期限までに提出せず無申告だった場合は「決定」の手続きとなります。
申告義務のある人が申告や納税を行わない場合、税務署が独自の捜査によりその人の納めるべき税額を決定します。

まとめ

納税申告の訂正にはさまざまな手続きがあります。
納税者が行う手続きが「修正申告」と「更正の請求」、税務署が行う手続きが「更正」と「決定」です。
納税申告は正確に行いたいものですが、間違いを修正することは悪いことではありません。修正申告が必要となった際はきちんと行いましょう。

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