法人税の申告期限を延長する方法
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2015.08.26
決算
法人税の申告期限を延長する方法
法人税とは、株式会社などの法人の所得に対して、事業年度ごとにかかる税金です。法人は年度末に決算を済ませたあと、確定申告を行い税務署に申告・納税します。
法人税には申告書を提出する「申告期限」と、税金を納付する「納付期限」がありますが、「申告期限」は一定の手続きにより延長することができます。
<目次>
- 「申告期限の延長の特例」とは
- 延長するための条件は
- 申告期限を延長できる税金
- 延長の申請方法
- 申告期限の延長の申請方法
- 見込み納付を行おう
- まとめ
「申告期限の延長の特例」とは
基本的に、法人税は決算日の翌日から2カ月以内に申告・納付しなければなりません。たとえば3月31日決算の企業だと、決算日の翌日は4月1日です。そこから2カ月以内に当たる5月31日が申告期限となります。(6月1日だと2カ月「後」に当たります。)申告や納付の期限を過ぎてしまうと、無申告加算税や延滞税などのさまざまな附帯税が課されます。
たとえば「株主総会前に社長が急に倒れた。決算が間に合わないかもしれない」「決算期間近になって、経理が仕事をやめてしまった」などのハプニングがあった場合。何も申請せずに申告期限を過ぎると、無申告加算税などの附帯税を徴収されます。
このようなペナルティを回避するために、「申告期限の延長の特例」という手続きがあります。
「申告期限の延長の特例」とは、事業年度の終了日までにその手続きを行うことで、法人税の申告期限を1カ月延長できる制度です。
法人税の申告期限は決算日の翌日から2カ月以内となっていますから、3月31日決算の企業は5月31日が申告期限です。しかし事前に「申告期限の延長の特例」を申請することで、申告期限が1カ月延長され、6月30日になります。通常よりも1カ月の猶予があるので、余裕を持って申告を行えますね。
なお、「申告期限の延長」という制度もあります。これは災害などのやむを得ない理由によって、申告書を期限までに提出できないときに利用する制度です。「申告期限の延長の特例」と名称がよく似ていますが、内容は異なるため間違いのないように注意しましょう。
延長するための条件は
国税庁が提示する概要によると、申告期限の延長の特例とは「会計監査人の監査を受けなければならない等の理由により決算が確定しない」場合などが該当します。「会計監査」と聞くと大企業の話と考えがちですが、監査を受けていない企業でも延長の申請は行えます。
法人税の申告期限を延長したい場合は、まず会社の定款を確認しましょう。定款に「当社の定時株主総会は、毎事業年度の終了後3カ月以内に招集する」などの文章があれば、申告期限の延長を申請できます。ポイントは、定時株主総会の招集時期が「2カ月以内」ではなく「3カ月以内」となっていることです。
実は、法人税の申告期限は事業年度終了後2カ月以内と定められていますが、株主総会の招集は事業年度終了後3カ月以内という決まりがあります。つまり、事業年度の終了から3カ月目に株主総会を行う企業の場合は、通常の申告期限までに法人税の額が確定しないケースがあるのです。
そのため、このような企業は「申告期限の延長の特例」の申請を行い、申告期限を1カ月延長して申告します。この仕組みを利用して、どの企業も申告期限を延長が可能です。
もし定款において「2カ月以内」としている場合は、定款を「3カ月以内」と変更すれば「申告期限の延長の特例」を申請できます。
この「申告期限の延長の特例」申請は、一度申請すると翌年以降も継続して適用されます。
注意しなければならないのは、申告期限の延長を行っても、納付期限は延長できないということです。申告期限の延長に合わせて納税も遅れた場合は、延長した1カ月分に利子税が加算されます。
「利子税がかかるなら、延滞税を支払うのと同じことでは?」と思う方もいるでしょう。しかし利子税は延滞税と扱いが異なり、損金算入ができます。損金は法人税の計算において収益から差し引けるので、損金算入することで会社の所得が減ります。つまり利子税であれば、法人税の減額につながるのです。
申告期限を延長できる税金
申告期限を延長できるのは法人税、法人事業税、都道府県民税・市町村税(住民税)です。消費税の申告期限は延長できないので、うっかり滞納してしまわないように気をつけましょう。
また、税金の種類により届け出る場所や規定の書類が異なります。
- 法人税……納税地の所轄税務署が規定する書類を、納税地の所轄税務署に提出
- 事業税・都道府県民税……各都道府県税事務所が規定する書類を、各都道府県税事務所に提出
- 市町村税(住民税)……各市町村の役場が規定する書類を、各市町村の役場に提出
延長の申請方法
申告期限の延長の申請は、その適用を受けようとする事業年度終了日までに規定の書類を提出して行います。
申告期限の延長の申請方法
法人税の申告期限の延長を申請するには、「申告期限の延長の特例の申請書」を用意します。これは国税庁のホームページからダウンロードできます。
申請時には、申請書に必要事項を記入し、所轄の税務署に持参または送付します。提出先は納税地の所轄税務署長です。通常は1部で構いませんが、調査課所管法人(国税局の調査部門が税務調査をすることになった会社)の場合は2部必要です。
延長を申請する理由については、会社の定款において決算日から3カ月以内に株主総会を開催するため、といった趣旨のことを書くとよいでしょう。
見込納付を行おう
利子税を回避するために、「見込納付(仮納付)」という方法があります。これは納付するべき税金を概算してあらかじめ納付し、申告期限後に差額を精算するという方法です。多めの税額を見込納付しておけば、差額精算で差額は返還されます。申告期限までに税金を納付しているので、利子税もかかりません。なお、納入額が多かった場合は「更正の請求」という手続きを行います。
なお、法人事業税や住民税などその他の税金については、それぞれの所轄である各都道府県税事務所や地方自治体の規定に従ってください。
まとめ
申告期限の延長について整理すると、以下の通りになります。
- 期限の延長を申請せず、申告も納付も遅れた場合
- →無申告加算税・延滞税が課される
- 期限の延長の特例を申請し、法定納期限を過ぎて1カ月以内に申告・納付を行った場合
- →利子税が課される
- 法定納期限までに見込み納付を済ませたうえで、
期限の延長の特例を申請し、法定納期限の1カ月以内に申告を行った場合 - →附帯税などはなし
申告期限の延長は書類を提出するだけで利用できる便利な制度ですが、事業年度の終了日までに申請が必要です。「今年は手続きが滞りそうだ」と思ったときは、早めに「申告期限の延長の特例」を申請するようにしましょう。
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