経営者のための役員報酬入門 ~役員報酬を決める際の考え方から変更方法まで~

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2015.08.24

起業

経営者のための役員報酬入門 ~役員報酬を決める際の考え方から変更方法まで~

役員報酬とは、社長である経営者を含めた会社の役員に対して支給する給与のことです。役員報酬をいくらにするかによって法人税額も変わるため、会社の資金繰りに大きく影響するものだといえます。ただし、金額を決定するうえで明確な基準が存在しないため、いくらにすればよいのか迷う方も多いはずです。
今回は、これから起業を考えている方や、役員報酬でうまく節税したいと考えている方の参考になるような、役員報酬額に対する考え方や変更方法などをご紹介します。

<目次>

そもそも役員報酬とは?

冒頭でも述べましたが、役員報酬とは会社の役員に支払う給与です。人件費ではありますが、原則として損金に算入できない点が、従業員に支給する給与と大きく異なります。つまり、役員報酬を上げたところで法人税の負担は減らないのです。
ただしこれは原則で、役員報酬には損金として計上できるケースもあります。この点をしっかり理解することが、節税への第一歩といえるでしょう。
これを知らないまま、法人税を抑えるために役員報酬を高額に設定すると、「予想よりも大幅に法人税が高くなってしまった」ということになりかねません。こうなると当然、会社の資金繰りも難しくなってしまいます。
会社を円滑に経営するためには多くのノウハウが必要ですが、役員報酬について正確に理解することもまた、重要な要素だといえます。

損金算入できる役員報酬

それでは、損金として認められる(経費として計上できる)役員報酬にはどんなものがあるのでしょうか。以下に、その代表的なものを示します。

定期同額給与

定期同額給与とは、毎月一定の時期に決まった額を支給する報酬です。ただし、支払う報酬額は、期首から3カ月以内に決めなければならないことに注意しましょう。
さらに気をつけたいのは、「決まった額を支給する」という点です。たとえば、毎月15万円と決めたにもかかわらず、「業績がよかったから20万円する」ということはできません。
しかし、急に業績が傾いてしまい、役員報酬を減額せざるを得なくなることもあります。こういった場合は、必要な手続きを踏めば、役員報酬を減額しても「毎月決まった時期に決まった額を支給した」と見なされ、損金算入が認められます(詳しくは「役員報酬を変更する方法」で後述します)。

事前確定届出給与

事前確定届出給与とは、決まった日に決まった額を支給する報酬です。株主総会などで役員報酬を決定してから1カ月以内に、その旨を記した「事前確定届出給与に関する届出」を税務署に提出する必要があります。届け出た内容に従って役員報酬を支給し、きちんと記帳しておけば、損金として認められます。
ただし、役員報酬を支給する日が1日ずれても、金額が1円ずれても、損金算入することはできません。
事前に届出を行う以外は「定期同額給与」と似ていますが、たとえ業績悪化によって役員報酬額を引き下げたとしても、全額を損金に計上することはできません。この点に注意が必要です。

利益連動給与

利益連動給与とは、会社の利益に応じて支給する報酬です。ただし、上場企業のような大会社に限られるといえます。というのも、これは役員報酬の算定基礎となる指標などを事前に有価証券報告書などに記載しておき、それに基づいて報酬を支給した場合に損金算入が認められる制度であるためです。
なお、同族会社に該当しない法人だけが利用できる制度である点にも注意しましょう。

税金との関係で役員報酬額を考える

役員報酬額を決めるうえで考えなければならないのが、税金との関係です。役員報酬をいくらにするかによって、個人の所得税や住民税、会社の法人税や事業税も大きく変わります。また、個人と会社の社会保険料に影響することも頭に入れておきましょう。
たとえば、役員報酬を減らすと会社の損金も減るため法人税は増えますが、個人の所得税と住民税は減ります。もちろん、この反対も同様です。役員報酬を増やした場合は当然、個人にとっても会社にとっても社会保険料の負担が大きくなります。
役員報酬と各種の税金は相互に関連していることを念頭に置き、「法人税を減らしたい」「個人の所得税を減らしたい」など、税負担も考慮して報酬額を決定することが重要です。

役員報酬を変更する方法

この項目で示す役員報酬の変更方法は、役員報酬を損金算入させるために最も一般的である「定期同額給与」を採用している場合です。
それではさっそく、役員報酬を変更する方法をいくつかのケースに分けてご紹介します。

期首から3カ月以内に変更する方法

定期同額給与は事業年度の開始から3カ月以内の変更が認められています。期限内に株主総会を開いて役員報酬額を変更すれば、その後も損金算入が可能です。このとき、役員報酬額を記載した株主総会議事録を作成し、保管しておく必要があります。
なお変更前の役員報酬について、それぞれが一定の時期に同額ずつ支給されていた場合は、定期同額給与として損金算入が認められます。

期首から変更を適用する方法

事業年度が開始してから最初の給与支給日までに臨時株主総会を開き、変更する必要があります。この場合、臨時株主総会議事録を作成し、保管しておかなければなりません。

期首から3カ月経過後に変更する方法

原則、期首から3カ月経過後に役員報酬額を変更すると、損金算入はできません。ただし例外的に、一定の要件を満たせば認められるケースがあります。
たとえば、経営状況が悪化したことによって役員報酬額を減額せざるを得ない場合や、役員の職務内容に重大な変更(通常の取締役が専務取締役になるなど)があって増額せざるを得ない場合などについては、条件つきながら認められるケースがあります。ただし、減額あるいは増額した金額を決算まで毎月計上しなければなりません。
また、これらの場合も株主総会を開き、議事録を作成し、保管しておく必要があります。

まとめ

本文で「税負担を考慮して報酬額を決定することが重要」と述べましたが、最も大切なのは、会社の事業計画と照らし合わせたうえで、適切な額を決めることです。
さらに、役員報酬額は社会通念上相当と認められる金額でなければなりません。従業員のモチベーションに配慮して、支給する給与額と役員報酬額の兼ね合いを考慮する必要もあるでしょう。

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