全部言える?超重要な26の財務指標をまとめて解説 経営者のための財務分析入門!
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2023.10.30
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全部言える?超重要な26の財務指標をまとめて解説 経営者のための財務分析入門!
こんにちは、税理士の高橋です。
経営者のみなさんが高く関心を寄せている事項として、よく挙げられるのが「財務分析」ですよね。
財務分析は会社にとって非常に大事な作業ですが、そもそも何のために行うのでしょうか。
今回は、「何のために分析するのか」「何を分析できるのか」といった、財務分析の基本的な部分について、分析に用いる代表的な指標の紹介を混じえながらご説明します。
Contents
企業の成長・危機回避のためには財務分析が有効
健康診断や人間ドッグを定期的に受ける方は多いでしょう。それは、病気になっていないかをチェックするため、あるいは、万が一病気にかかっていたとしても早期に発見し、治療を行って大事に至らないようにするためだと思います。企業の財務分析も、それとまったく同じです。
財務分析では、「経営に問題はないか」「改善する点はないか」といった点をチェックすることで、経営危機を回避することができます。また、今後の利益を浮かび上がらせることも可能です。つまり、企業にとってベストな意思決定を行うための、正確な現状把握と将来予測をすることが、財務分析の目的であるといえます。
財務分析には5つの観点がある
それでは、具体的にどのような点を分析するのでしょうか。財務分析は、「収益性分析」「安全性分析」「活動性分析」「生産性分析」「成長性分析」の5つの観点から見ることができます。ここでは、それぞれに含まれる代表的な指標をご紹介します。
分析1 収益性分析
収益性分析は、企業がどれだけ利益を上げられているかを見るものです。利益の具体的な額ではなく、その比率をチェックします。
収益性分析は、売上高に対する収益性を見る「取引収益性」と、資本に対する収益性を見る「資本収益性」の2つに分けられます。
■取引収益性
取引収益性は、売上と利益、売上と費用がそれぞれどう関連しているのかをチェックするものです。主に以下の比率を確認します。
- 指標1 売上高総利益率
- 粗利率や荒利率とも呼ばれる、売上高に対する売上総利益の比率を表す指標です。企業の大まかな利益率を把握するための、基本的な指標であると言えます。
- 指標2 売上高営業利益率
- 売上高に対する営業利益の比率を表す指標です。営業(販売・管理)活動の効率性を判断するもので、比率が高いほどよいとされています。
- 指標3 売上高経常利益率
- 売上高経常利益率を求めるために用いる経常利益は、営業利益に経常損益を足し引きすることで算出します。経常利益は営業活動と財務活動の両方の収益を示すものであるため、売上高経常利益率は企業の業績を表す非常に重要な指標であるといえます。
- 指標4 売上高当期純利益率
- 売上高に対する当期純利益の比率です。当期純利益は経常利益から特別損益を足し引きするなどして求めますが、特別損益は常に発生するものではない(売上との関連が薄い)ため、売上高当期純利益率はさほど重要な指標ではないといえます。
- 指標5 売上高販管費率
- 売上高に対する販管費(販売費、一般管理費)の比率を示すものです。販管費は売上に比例して生じる「変動費」と売上に関係しない「固定費」に大別されますが、売上高販管費率は、これらがどの程度の割合であるかを把握できます。この比率が低いほど効率的な経営を行っているといえます。
■資本収益性
資本収益性は、総資本や自己資本と利益がどう関連しているのかをチェックするものです。主に以下の比率を確認します。
- 指標6 総資本経常利益率(ROA)
- 会社が投入した資本に対して、どれだけの利益を上げたかを表す指標です。利益を上げるにあたり、どれほど資本を効率的に利用できたかを確認できます。
- 指標7 自己資本当期利益率(ROE)
- 株主が投下した資本で、どれだけの利益を上げたかを表すものです。会社としては、株主の資本をいかに効率的に活用できたかを判断できます。
分析2 安全性分析
安全性分析は、銀行からの借入に対する返済能力といった、企業の支払い能力を見るものです。
安全性分析は、貸借対照表を用いる「ストック分析」と、キャッシュフロー計算書を用いる「フロー分析」に分けられます。
■ストック分析
ストック分析は、ある時点における収支を確認するものです。会社の財務分析においては、事業年度末の会社の資金状態を確認できる貸借対照表を用い、資産と借金、資産と株主資本の関係をチェックします。主に以下の比率を確認します。
- 指標8 流動比率
- 流動負債に対する流動資産の割合を示すものです。流動負債はすぐに返済すべき負債で、流動資産はすぐに現金化できる資産であるため、流動比率が高ければ、会社の短期的な返済能力が高いということになります。
- 指標9 当座比率
- 流動比率と同様、会社の短期的な返済能力を示す指標です。ただし、流動資産のなかでも短期間で現金化できる当座資産を用いて求めるため、さらに正確な短期的返済能力を示した指標であるといえます。
- 指標10 固定比率
- 自己資産に対する固定資産の比率を表す指標です。建物や設備といった固定資産が自己資本の範囲に収まっているかを確認できるため、適切な設備投資を行っているかどうかを判断する指標になります。
- 指標11 自己資本比率
- 総資本に対する自己資本の比率を表す指標です。自己資本比率が高ければそれだけ借入金が少なく、健全な経営を行っているといえます。
■フロー分析
フロー分析は、ある期間のキャッシュフロー(資金の流れ)を確認するものです。会社の財務分析では、ひとつの事業期間でのキャッシュフローを確認できるキャッシュフロー計算書を用い、「営業」「投資」「財務」の3つの視点で分析します。
- 指標12 営業キャッシュフロー
- 営業活動での収支の差額を表したものです。これがプラスであれば本業で収入を得られていることになりますが、マイナスの場合は本業が不調ということになります。
- 指標13 投資キャッシュフロー
- 固定資産や株などの取得・売却で発生したキャッシュフローのことです。投資キャッシュフローがプラスになる場合としては、資金繰りを行うために株を売ってキャッシュを捻出したケースなどが考えられます。なお、設備投資や固定資産などへ投資を行った場合、投資キャッシュフローはマイナスとなります。
- 指標14 財務キャッシュフロー
- 金融機関からの融資または返済、株式発行による資金調達または配当金の支払いなど、財務に関するキャッシュフローを表す指標です。マイナスとなる場合は返済や償還が進んだということになり、金融機関からの融資を受けたり、社債を発行して資金を調達した場合などはプラスになります。
分析3 活動性分析
活動性分析は、会社の経営が活発かどうかを見る指標です。資本を効率的に使い、多くの売り上げをあげているほど活発性が高いといえます。資産が多すぎる場合は活動性が低いということになり、資産の無駄についてもチェックできます。
活動性分析では、主に以下のような指標を確認します。
- 指標14 総資本回転率
- 売上に対して資本がどれくらい回転しているか、つまり、資本を効率的に運営できているかを確認するものです。この回転率が高ければ、少ない資本で大きい売上を上げているということになります。
- 指標15 固定資産回転率
- 売上高と固定資産の比率を確認する指標です。固定資産が売上を上げるために活用されているかをチェックするものであるため、固定資産がしっかり管理されているか、設備投資が適正であるかなどを判断できます。
- 指標16 棚卸資産回転率(在庫回転率)
- 棚卸資産の残高が適正であるか、商品・製品などを効率的に販売できているかを確認する指標です。回転率が低ければ棚卸資産が多い(余っている)ということになります。一般的には回転率が高いほうがよいとされていますが、具体的な数値は業種や会社によってさまざまです。
- 指標17 売上債権回転率
- 売上債権がどのくらい滞留しているか、適正金額であるかを確認する指標です。この回転率が高ければ、売上債権を早く回収できるということになります。
- 指標18 買入債務回転率、買入債務回転期間
- 買入債務回転率は、買入債務がひとつの事業期間で何回転しているかを表す指標です。買入債務回転期間は、買入債務の支払いにいくらの売上が必要か、どれほどの日数がかかるのかを示す指標になります。
- 指標19 商品回転率、商品回転期間
- 売上に対し在庫量が適正か、商品が効率的に回転しているかを確認する指標です。商品回転期間は、商品が1回転するまでにかかる日数を示す指標です。この期間が短ければ、商品が効率的に回転しているということになります。
分析4 生産性分析
生産性の分析は、会社が従業員や設備などを効率よく活用しているかどうか、それがどれほどの売上や付加価値の創出につながっているかを見るものです。
生産性分析では、主に以下のような指標を確認します。
- 指標20 売上高付加価値率
-
- 指標21 労働分配率
- 付加価値に対する人件費の比率を確認する指標です。人件費が適正であるかどうかを判断することができます。
- 指標22 労働生産性
- 従業員1人あたりがどれほどの付加価値を生み出しているかを確認する指標です。まったく同じ労働生産性の会社が2つあったとすると、平均従業員数の少ないほうが、1人あたりが生み出す付加価値が高いということになります。
分析5 成長性分析
成長性分析は、これまで会社がどのように成長してきたか、また今後の成長の可能性はどうかを見るものです。
成長分析では、主に以下のような指標を確認します。
- 指標23 売上高伸び率(売上高成長率)
- 前期と比較し、当期の売上高がどれほど伸びたのかを確認する指標です。単年度ではなく過去数年分の伸び率も確認し、その変化を見るのが基本です。
- 指標24 経常利益伸び率
- 前期と比較し、当期の経常利益がどれほど伸びたのかを確認する指標です。売上高伸び率と同じように増加するのが理想とされています。
- 指標25 当期純利益伸び率
- 前期と比較し、当期純利益がどれほど伸びたのかを確認する指標です。ただし、当期純利益は特別損益が含まれるため、経常利益伸び率と比較しながらチェックします。
- 指標26 売上高研究開発費率
- 売上高に占める研究開発費の割合を確認する指標です。売上高に対してどれだけの研究開発費を投資したかということがわかります。
まとめ
健全で成長性の高い経営を実現するためには、数値化された指標をただ確認するのではなく、そこから浮かび上がった問題点や改善すべき点をしっかり認識し、対処することが重要です。
「自力では難しい」という場合は、税理士などのプロに任せる選択肢もあるので、ぜひ検討してみてください。不正確な財務分析による間違った意思決定だけは避けたいところです。
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