相続税対策に「生前贈与」はどのくらい有効か?贈与税の今後の改正の動向について

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2022.03.16

相続

相続税対策に「生前贈与」はどのくらい有効か?贈与税の今後の改正の動向について

相続税対策にもなる生前贈与の非課税制度には何があるか

相続財産を生前のうちに子供らに譲ってしまえば、亡くなった際の相続財産が少なくなるから相続税が減るのではないか、誰しもそうお考えになると思います。

財産を生前のうちに無償で与えることを贈与と言い、贈与税は受け取った側にかかる税金ですが、年間110万円までは贈与税がかかりません。
ここから皆様もお考えのように、例えば毎年110万円の生前贈与を10年間続ければ、1,100万円もの相続財産を減らすことが可能となります。

夫婦間でも気を付けないと贈与税がかかる場合が

特に多額の金銭の移動や不動産の名義変更などに際して注意が必要です。
居住用の住宅を購入する場合やローンを支払う際、または既に住んでいる居住の名義を変更する場合に、2,000万円まで(正確には基礎控除110万円を含む2,110万円まで)課税されない、「贈与税の配偶者控除」があります。
婚姻20年以上の一定の居住物件が該当しますが、この制度を活用し、生前の内に相続財産の一部を配偶者に移転しておくことで相続税対策になる可能性があります。

活用したい住宅取得資金の贈与税の特例

令和5年12月まで適用延長となった「住宅取得資金の贈与税の特例」では、最大1,000万円まで贈与しても贈与税が課税されない制度があります。お子様や孫が住宅を購入するための資金援助に大いに活用したい制度です。

令和5年3月までは「教育資金の一括贈与の特例」として1,500万円までの非課税となる制度や、「結婚・子育て資金贈与の特例」として結婚・子育て資金贈与で子や孫1人につき1,000万円まで、そのうち結婚費用に充てられるものは300万円までの非課税となる制度があります。

いずれも細かな条件を満たす必要があり、かつ納税額がでなくても必ず申告が必要となりますので、ご注意ください。

このように国が認める贈与税の非課税制度をうまく使うことはとても重要なことです。

例えば、夫が亡くなり配偶者の税額軽減措置をフル活用された方は、次のご自身の相続に時には相続税が多額にかかる可能性があります。そうした場合は、生前のうちにこれらの贈与税の非課税制度を活用して、二次相続の高額な税負担に備えるべきでしょう。

無税の生前贈与が相続で課税される場合あり

贈与税は1/1~12/31までの1年間に受け取った財産の合計額で税金を計算する「暦年課税」が通常ですが、「相続時精算課税制度」を利用して、60歳以上の親や祖父母から20歳以上の子供や孫へ贈与する場合に、受け取った額の合計が2,500万円を超えるまで贈与税が無税となる制度を選択することも出来ます。
ただし、この相続時精算課税制度は生前の贈与時に一定額まで贈与税を課税しない代わりに相続時に精算して相続税の計算に取り込む制度です。
贈与税が無税と言っても贈与税相続税のトータルの税負担が有利になるか不利になるかは一概に言えません。専門性の高い判断が必要となる制度です。

また、通常の暦年贈与においても、お亡くなりになる前3年以内の贈与は相続税計算に加算されて、再計算が行われます。これを「相続開始前3年以内の贈与加算」と言います。

先に年間110万円まで贈与税が無税と言いましたが。お亡くなりになる前3年間のこうした贈与は相続時に加算されて計算されますので、相続税として課税される可能性が出てきます。

贈与税の今後の改正の動向について(令和4年税制改正大綱)

昨今巷で噂されている贈与税と相続税の一体化について少し触れたいと思います。
今回の税制改正では行われませんでしたが、具体的には生前贈与110万円非課税に代表される贈与制度の大幅な改正が今後予想されます。

贈与税と相続税の一本化とは生前に贈与してもまとめて相続しても変わりがないようにさせることです。
例えば、相続開始前3年以内の贈与加算の適用期間をもっと伸ばす可能性もあるかもしれません(現にドイツでは10年、フランスでは15年、アメリカでは一生涯という、加算期間になっています)し、今後の動向が注目されます。

相続税はとても専門性の高い法律です。
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