起業する前に知っておきたい、資金繰りと銀行借入の基礎知識

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法人税・相続税 申告お役立ちブログ

2015.08.12

法人税の節税対策

起業する前に知っておきたい、資金繰りと銀行借入の基礎知識

起業までに知っておくべきことはたくさんありますが、「実際にどう会社を経営していくか」ということもぜひ知っておきたいところです。
今回は、会社をうまく経営していくうえで非常に重要な「資金繰り」と「銀行借入」に関する基礎的な内容をご紹介します。

<目次>

資金繰りって何?

会社に出入りするお金を管理・把握し、諸経費の支払いにすぐ対応できるよう、資金の流れをコントロールするのが「資金繰り」です。
この場合の「資金」は、「現金」「預金」「有価証券」のように即現金化できるものを指します。「定期預金」や「不動産」のように現金化に時間のかかるものは「資金」に含まれません。

資金繰りは会社を経営するうえで最も重要な業務のひとつだといえます。資金が不足すれば会社存続の危機に陥る恐れもあり、経営者はうまく資金繰りを行う必要があります。

資金繰りに失敗するとどうなる?

仕入れや社員への給与支給、売掛金の回収などがうまくいかず、資金繰りが滞ってしまった場合、どんなことが起こるのでしょうか。

たとえば支払いのための現金を用意できないといった場合、会社は銀行などからお金を借りるかたちで資金を調達することになります。しかし、万が一ここで借入できなかった場合、支払手形の不渡りを出してしまい(自社で振り出した手形の決済ができない状況)、最終的に倒産してしまうことも十分に考えられます。
当然、不渡りを出した会社はうまく立て直せない限り、他所からの信頼を失うことになります。

上手な資金繰りをするために

資金繰りの理想は、事業の売上で得た資金を新たな事業展開のために活用し、さらなる資金を創出することです。

資金繰りをしっかり行うには、「資金繰り表」の活用が欠かせません。
資金繰り表とはその名の通り、会社の資金繰りを把握するための表です。営業収支や財務収支といった資金の増減を実績と予想で表し、資金の流れを把握します。一定期間で作成するのが一般的ですが、1カ月ごと・日ごと・週ごとで作るものなど多くの種類があり、「これを使用しなければならない」という決まったフォーマットはありません。資金の支払いや受け取りの時期、あるいは資金調達の予定を組む際にも利用できます。

資金繰りをうまくやるためには、税理士や会計士、会社の経理担当者の力を借りるのも大事ですが、経営者が自ら積極的に資金繰りに取り組み、向上と改善を図っていくことも重要といえるでしょう。

銀行借入で得たお金も立派な資金

ここまで資金繰りの重要性について説明してきました。資本金を手元に残しておくことは会社にとって非常に大切なこと。しかし、出資だけで多くの資本金を集めることができる企業ばかりでないのも事実です。

資金繰りがうまくいかず、場当たり的に銀行からお金を借りるという事態は避けたいですが、決算後の納税資金やボーナスの時期には資金不足になりがちです。
また、事業の内容によっては設備投資などのための新たな資金が必要になることも当然あります。しかし多くの中小企業は、一部の上場企業のように広く出資を募って資金を調達することができません。

そんなときに活用するのが銀行借入です。資金繰りの失敗で借入を行う場合は別として、上記のように正当な理由があれば、銀行から借りたお金も立派な資金であるといえるでしょう。

そもそも銀行借入って何?

銀行借入(銀行融資)とは、民間の銀行や政府系の「金融機関」から資金を借り入れることです。銀行が一般の人から集めた預金を企業に貸し付ける仕組み(間接金融)になっています。
詳しくは後述しますが、銀行から融資を受けるには明確な資金使途の説明や、決算書といった書類の提出が必要です。
まずは、どの金融機関から借り入れるかを検討しましょう。

それぞれの金融機関の違いは?

融資をしてくれるかどうかのポイントは、金融機関によって異なります。

  • メガバンク、上位地方銀行
    非常に精巧な書類の提出が求められます。会社の状況に関して完璧な資料を作成し、しっかりと筋道を立てて説明しなければなりません。

  • 地方銀行、信用金庫、信用組合 書類をきちんと提出すれば比較的よい評価をもらえます。担当者や支店長との関係づくりが重要です。

  • 政府系金融機関 書類の内容と、会社の将来性に重点を置いています。この点を、事業計画書などでアピールする必要があります。

  • 信用保証協会 中小企業と銀行をつなぐ存在です。企業に代わって貸倒れのリスクを負い、銀行からの融資を受けさせてくれるため、堅実な姿勢を示すようにしましょう。

どんな借入方法があるの?

融資の方法には4つの種類があります。

  • 証書貸付 長期間資金を借入する際に利用する方法です。金銭消費賃貸契約書(借入金額や金利などを記入する書類)を銀行に差し入れてお金を借ります。

  • 手形貸付 1年以内の短期間、資金を借入する際に利用する方法です。借入用の手形を銀行に差し入れてお金を借ります。

  • 手形割引 企業が売上を手形で回収し、それを銀行が買い取るかたちで融資する方法です。万が一不渡りとなった場合は、企業はそれを買い戻す必要があります。

  • 当座貸越 融資の限度額を決め、その範囲で自由に融資・返済できる方法です。

銀行借入の流れ

大まかにいうと、「相談」「書類の準備・申し込み」「面談」「審査」「契約・実行」の順になります。

  • 相談 まずは電話か窓口で、融資担当者に借入を希望していることを伝えます。このとき希望する借入額や会社の状態も知らせます。

  • 書類の準備・申し込み 相談時に指示された申し込みに必要な書類を準備し、借入申込書とともに提出します。

  • 面談 申し込んだとき、あるいはその後、融資担当者との面談があります。ここでは資金の使途や希望額などを伝えます。初めての取引である場合は、一般的に3期分の決算書・定款・登記簿謄本などが必要になります。

  • 審査 銀行が融資をするかどうかの審査を行います。審査担当者が融資担当者に質問をし、そこで説明できなかった点を補強するため、新たな資料を要求されます。

  • 契約・実行 この時点で借入が可能になります。

初めて銀行借入するときのポイント

最初にどの銀行(金融機関)から借り入れるかを検討します。紹介してくれる人がいない場合は、商工会議所や日本政策金融公庫に問い合わせてみましょう。 起業したてで実績がない場合は、金利の低い日本政策金融公庫から融資を受けることをお薦めします。

どの金融機関から借り入れるにせよ、重要なのはいかに事業計画書がしっかりしているかという点です。どのような事業にどのようにお金を使うのか、そして、どう返済する計画なのかを明確に伝えない限り、融資は受けられないと思っておきましょう。

また、気をつけたいのは担当者とのやり取りです。起業したばかりで取引がない状態だと、融資を引き出そうという気持ちから会社をよく見せがちです。しかし、嘘を吐いてはいけません。どんなに不利だと思われることでも、会社のありのままの状態を話す姿勢が重要です。

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